楊志(ようし)

元禁軍武術指導者で二竜山での根拠地建設から梁山泊まで各地で活躍した武将。青みがかった肌と生真面目な性格で知られ、その実直な武人気質が仲間の信頼を支えている。

第2巻「替天の章」

第3章 天暗の星

地方巡検視として十名の兵を率い、街道で林冲と遭遇して激しい一騎討ちを演じる。命を救われたことで、腐敗した朝廷のために戦うことの意味を自問し始める。

第5章 地耗の星

禁軍府で高俅に侮辱され、青州の軍へ転属を命じられる。途中の北京大名府で盧俊義や魯智深と出会い、軍人としての誇りと現実の狭間で苦悶する。

第6章 天異の星

梁中書から十万貫の生辰綱の護衛を命じられる。慎重に行軍を進めるが、黄泥岡にて晁蓋らの策に嵌まり、財物を奪われる。失態を恥じ、探索の手紙を託して自らは荷の行方を追って旅立つ。

第3巻「輪舞の章」

第1章 地稽の星

生辰綱の護衛に失敗して自暴自棄になっていたが、魯智深に導かれ二竜山を奪う決意をする。山寨に潜入して首領の鄧竜を討ち取り、新たな拠点の主として再生する。拾った孤児に楊令と名付け、養父としての情愛を見せ始める。

第6章 地好の星

二竜山の兵を厳しく調練し、官軍の輜重隊を襲撃して大量の兵糧と資金を奪うことに成功する。戦いの後、一時的に安丘の街へ戻り、済仁美や楊令と束の間の人間らしい穏やかな時間を過ごす。

第7章 天満の星

官軍五千による二竜山への大規模な攻勢を受けるが、石秀や桃花山の援軍と連携してこれを見事に退ける。梁山泊からの支援を受けつつ、独立した精強な軍としての地位を確立していく。

第4巻「道蛇の章」

第4章 天寿の星

二竜山と桃花山の兵を率いて梁山泊へ入山し、自ら鍛え上げた一千の精鋭を晁蓋に託して組織の主力とする。晁蓋の笑顔に触れて深い忠誠を誓い、闇塩の道を守るために再び二竜山へ戻って官軍を攪乱する困難な役目を引き受ける。

第6章 天速の星

彼の名声と軍事的才能を危惧した青蓮寺の李富により暗殺の標的とされ、安丘に住む妻の済仁美と養子の楊令に間者が接近するなど、身辺に危険が迫る。

第6巻「烈火の章」

第1章 地闊の星

安丘郊外において、青蓮寺の王和が放った刺客に包囲され、壮絶な戦死を遂げる。

第2章 地文の星

その死は梁山泊の同志たちに大きな衝撃を与え、二竜山の後任として秦明を招致する動機となる。

第4章 天猛の星

遺児である楊令の成長や、林冲・秦明らが少年を鍛え上げる場面で、その武人としての遺志が物語の精神的支柱として繰り返し描かれる。

第7巻「烈火の章」

第1章 地伏の星

二竜山において官軍と戦い、石秀や周通とともにすでに戦死したことが、武松の口から宋江に告げられる。

第5章 地賊の星

彼の暗殺が旅芸人の馬桂による手引きであったことが、時遷の執念深い調査によって判明する。石勇がまとめた聞き書きに含まれていた「白い大きな犬の死骸」が、暗殺現場を特定させた決定的な証拠として扱われる。志を捨てて復讐に加担した馬桂の裏切りによって、妻の済仁美とともに命を落とした悲劇的な最期の真相が語られる。

第8巻「青龍の章」

第1章 天暴の星

冒頭の梗概にて、安丘郊外で王和の軍に暗殺された経緯が語られる。残された遺児の楊令は秦明らに託され、彼の志は二竜山の闘いへと引き継がれている。魯達と解珍の対話の中でも、かつて行動をともにした豪傑の一人としてその名が挙げられる。

第2章 地異の星

二竜山の秦明や鄭天寿の回想や対話の中に登場する。遺児である楊令が高熱を出して生死の境を彷徨う際、彼を守り抜こうとする周囲の者たちの心の拠り所として、亡き楊志の存在が強く意識されている。

第4章 地悪の星

宋江が焦挺と対話するシーンで、志半ばで倒れた同志の象徴として語られる。彼の死は、生き残った者たちが背負うべき重い「死者の記憶」の一部となり、梁山泊の闘いを支える精神的な基盤となっている。

第9巻「嵐翠の章」

第1章 天空の星

かつて北京大名府にいた際、索超から唯一本気で立ち合いたいと思わせるほどの圧倒的な武人であったことが語られる。また、開封府郊外で索超・呂方と対峙した林冲も、その凄まじい剣の気を楊志のそれと重ね合わせている。

第3章 地微の星

二竜山の秦明や花栄らが、亡き楊志の遺児である楊令の成長や、彼が抱える孤独な魂について語る場面でその名が登場する。

第5章 地暗の星

梁山泊の糧道を確保する議論の中で、晁蓋が彼の血筋が宋建国の英雄・楊業に繋がることを指摘する。また、宋江や秦明が、楊令が父と同じく「男」としての魂を継承していることを再確認する会話の中で言及される。