王進(おうしん)

禁軍の武術師範。棒術の達人であり、その教えを受けた弟子たちが各地で活躍するほど指導力に定評がある。権力の不義を見れば従わないという孤高の精神を持ち、隠棲の地からも義のある者を静かに支え続ける。

第1巻「曙光の章」

第1章 天罡の星

禁軍武術師範であったが、新任大将の高俅との過去の因縁から身の危険を感じた。林冲の助力を得て、母を連れて開封府を脱出することを決意した。かつての教え子である呂栄が捕らえられたことが、逃亡の直接の契機となった。

第2章 天孤の星

延安府へ向かう途中に立ち寄った史家村で、慢心していた史進を圧倒的な武術で打ち負かした。請われるままに彼の師匠となり、数ヶ月間にわたって武芸の指導を行った。弟子の未熟さを諭し、真の武人のあり方を伝えた。

第4章 天雄の星

史進に全ての技を伝授し終え、彼が一人で盗賊を撃退できるまでに成長したことを見届けた。名残を惜しまれながらも、母を連れて再び延安府へと旅立った。弟子の将来を確信し、師としての務めを果たして去った。

第5章 地暴の星

子午山の麓で、母と共に静かに農耕と読書に励む日々を送っていた。そこへ旧知の魯智深が訪ねてきて、更生を託された粗暴な鮑旭を引き取ることになった。静かな隠遁生活の中でも、変革を志す仲間を支える役割を担った。

第2巻「替天の章」

第3章 天暗の星

子午山の麓で母と二人、農耕と読書に励む隠遁生活を送っていた。魯智深から更生を託された鮑旭を弟子として引き取り、武術だけでなく人間としての生き方を教え導いた。さらに、絶望の底にあった武松をも受け入れ、彼が自分自身を見つめ直すための場を提供した。

第8章 地魔の星

山中に牧を作り、林冲のための軍馬を秘密裏に調教する場を提供して変革を支援した。訪ねてきた魯智深と語り合い、自分は表には出ないものの、かつての教え子たちがそれぞれの場所で耐えていることに満足感を示した。静かな生活を続けながら、林冲の心の変化を温かく見守り、彼を宋江のもとへと送り出した。

第3巻「輪舞の章」

第5章 地魁の星

子午山で母や鮑旭、武松とともに、土を耕し焼物を焼く静かな隠棲生活を送る。訪ねてきた史進の慢心を武松との立ち合いで浮き彫りにし、強さがすべてではないという人間としての幅を説く。再生した武松を魯智深に返し、入れ替わりに史進を預かって新たな修行を課す。

第4巻「道蛇の章」

第5章 天殺の星

放浪の旅を続ける宋江が、いずれ会って話をしたいと願う高潔な英傑としてその名が登場する。武松や史進、鮑旭らが彼のもとで土を耕しながら修行に励んでいることが、各地の同志の話題にのぼる。

第6巻「烈火の章」

第1章 地闊の星

子午山に隠棲しており、案内されてきた宋江や、かつての弟子である武松と再会する。修行中の史進の成長を認め、彼を少華山へ送り出すとともに、心が閉ざされた馬麟を修行のために預かる。畠を作り焼物を焼く静かな生活の中で、武松や鮑旭に精神的な教えを説き、再会を喜び合う。

第7巻「烈火の章」

第3章 地周の星

子午山に隠棲し、史進の弟分である鮑旭や馬麟を厳しく指導していることが語られる。史進にとっては父とも兄とも慕うべき絶対的な師として、精神的な支柱であり続けている。

第4章 天勇の星

かつて禁軍で同僚だった林冲により、山中で武術の極致に達しているであろうその境地を高く評価される。

第5章 地賊の星

魯達が関勝に対し、自らを圧倒するような気配を持つ数少ない傑物の一人として彼の名を挙げる。直接の登場はないものの、その武勇と高潔な人格は多くの英雄たちの指標となっている。

第8巻「青龍の章」

第1章 天暴の星

かつて禁軍の武術師範を務め、史進にその技を授けた後、老いた母を伴って子午山に隠棲した経緯が語られる。物語の冒頭において、動乱の世から離れた場所に身を置く賢者として、その名が回想される。彼の教えは史進の武勇の礎となっており、梁山泊に連なる者たちの精神的な拠り所の一つとなっている。

第4章 地悪の星

開封府の将校たちが、屋敷に囲われている張藍の主人が誰であるかを推測する際、林冲と並んでかつての有力な師範としてその名が挙げられる。直接の登場はないが、彼の名が林冲とともに語られることで、張藍の正体が林冲の妻である可能性が浮き彫りになっていく。

第5章 地勇の星

直接戦場に現れることはないが、子午山の隠棲地にて鮑旭や馬麟といった修行者たちに武術を教えていることが示唆されている。彼のもとで研鑽を積む修行者たちは、梁山泊の潜在的な次代の戦力として位置づけられている。

第9巻「嵐翠の章」

第1章 天空の星

物語本編には直接登場しないが、かつて禁軍武術師範を務めていた際、京兆府の呂栄将軍と開封府でひと晩語り明かした知己であることが語られる。林冲にとっては師とも仰ぐべき存在であり、現在は官軍の追及を逃れて母とともに山中に隠棲していることが示される。

第3章 地微の星

二竜山の秦明らが、孤独な魂を抱える楊令を正しく育てるための預け先として、信頼できる王進の名前を挙げる。魯達が案内役となり、楊令を子午山の彼の居所へと連れて行くことが決定される。

第4章 地走の星

子午山で鮑旭や馬麟に武術を教え、焼物や耕作をしながら母と静かに暮らす姿が描かれる。訪ねてきた魯達から楊令を託され、彼の眼に宿る男としての光を認め、一人の人間として彼を迎え入れる決断を下す。

第5章 地暗の星

梁山泊に入山した鮑旭らを通じ、楊令とともに修行と農耕に励んでいる近況が宋江らに伝えられる。秦明に対しても、楊令が山での生活にすぐに馴染み、幸せに暮らしていることが報告される。

第11巻「天地の章」

第1章 地然の星

子午山にて母や楊令とともに隠棲しており宿を求めた索超を快く迎え入れる。索超の干物作りの智恵を喜び、索超に楊令との立ち合いを依頼して少年の不屈の精神を再確認する。

第12巻「天地の章」

第1章 地健の星

子午山の奥深くで母と隠棲し、農耕や焼物に勤しみながら楊令を鍛えている。訪れた索超に対し、武術を極めることだけが人生の目的ではないと説き、農作業を通じて静かな精神の在り方を示した。

第5章 地隠の星

隠れ家を訪れた解珍や楊春を温かく迎え、森の枯れ木を椀として再生させる生活哲学を語る。楊令に対しては、意識を失う寸前の「死域」に達するまでの峻烈な稽古を課し、心身の限界を超えさせようと導く。