李富(りふ)
禁軍監察官。冷徹な頭脳を持ち、賄賂を受け取りながらも相手の動向を監視し続ける謀略家。高俅よりも一層手強い策士であり、組織内の不穏な動きを鋭く察知する能力を持つ。
第1巻「曙光の章」
第2章 天孤の星
冷徹な禁軍監察官として、林冲からの賄賂を受け取りつつも、その背後にある不穏な動きを密かに監視し続けた。
第4章 天雄の星
林冲の捕縛と尋問を主導した。高俅をも凌ぐ策士として描かれ、林冲の口から同志の名を吐かせようと執拗に心理的な圧迫を加えた。
第2巻「替天の章」
第3章 天暗の星
青蓮寺の幹部会議に出席し、担当である全国の叛乱に関する情勢を報告した。各地で横行する盗賊が組織化される兆しを注視し、特に巧妙な闇塩の流通ルートに懸念を示した。袁明や他の幹部とともに、国家を裏から支える緻密な情報戦の一翼を担った。
第6章 天異の星
生辰綱強奪事件の調査を主導し、東渓村の晁蓋が関与していることを特定した。事件の背後に公孫勝や白勝といった、かつて自分が扱った囚人たちの影があることを見抜き、袁明に報告した。晁蓋の即時捕縛よりも、背後に潜む大規模な叛乱組織の全容解明を優先する方針を立てた。
第3巻「輪舞の章」
第3章 天機の星
青蓮寺の叛乱担当として、梁山泊の動静を袁明に報告し、間者掃討の徹底ぶりに驚愕する。梁山泊の外側に巨大な組織網が存在することを予見し、その中心にいる人物の特定を急ぐ。
第4章 地俊の星
全国を流浪する魯智深の足跡を追い、彼が各地の叛乱勢力を結びつける重要な役割を果たしていることを突き止める。呉達と地方軍の腐敗や叛乱の可能性について意見を交わし、現状の繕いには限界があることを痛感する。
第6章 地好の星
密州を視察して役人の腐敗の極致を目の当たりにし、安丘の守備兵を虐殺して賊徒の仕業に見せかける非道な工作を指揮する。この虐殺を通じて政府を刺激し、本格的な軍事出動を促すことで叛乱の芽を早期に摘み取ろうと画策する。
第4巻「道蛇の章」
第1章 天退の星
鄆城へ入り、宋江や朱仝の出奔の真相を探るため雷横を厳しく尋問する。宋江の従者・唐牛児を拘束し、過酷な精神的圧迫と刷り込みによって、偽りの供述を真実と思い込ませる工作を行う。
第2章 地鎮の星
閻婆惜の母・馬桂を間者として取り込むために開封府に家を用意し、自らも彼女のもとに通い詰め情交を重ねる。彼女を組織の道具として利用する目的であったが、次第に彼女の存在に安らぎを求めるようになり、公私の間で揺れ動く。
第3章 地孤の星
鄆城が梁山泊軍に制圧されると、軍事奪還ではなく経済封鎖によって敵の「城郭解放戦略」を挫く策を袁明に進言する。
第5章 天殺の星
楊志の抹殺を命じる袁明の意を受け、愛する馬桂を刺客として送り出す非情な決断を下す。大義のために女を利用する自らの業に苦悩し、酒に溺れながらも楊志暗殺と宋江捕縛の包囲網を構築する。
第5巻「玄武の章」
第3章 地会の星
楊志暗殺と二竜山・桃花山の壊滅を狙う大規模な軍事作戦を指揮するため、拠点となる李文鎮に入る。密偵の馬桂と密会して情愛を交わしつつ、楊志の潜伏先を特定するための最後の手筈を整える。許定将軍の実力を認め、戦場での全権を委ねることで、内応者と呼応した迅速な勝利を画策する。
第4章 地空の星
許定とともに櫓から二竜山への総攻撃を見守り、内応者が開いた突破口から軍を突入させる好機を待ち構える。石秀の英雄的な抵抗によって作戦が瓦解し、さらに梁山泊の本隊が想定外の早さで現れると、戦場のあまりの非現実さに圧倒される。自軍が壊滅的な打撃を受ける中、許定に促されて無念の撤退を余儀なくされる。
第6巻「烈火の章」
第3章 地狗の星
開封府で楊志暗殺後の情勢を分析し、新たに築かれた双頭山の脅威を袁明に報告する。間者の馬桂に対して公私混同に近い情念を抱き始め、彼女を呉用暗殺のために梁山泊近辺へ送り込む。
第5章 地劣の星
蔡京が起用した聞煥章の登場に危機感を抱き、彼の合理的かつ冷徹な戦略に圧倒される。聞煥章の指示に従い、宋江の捕捉と呉用暗殺を連動させた分断工作の指揮を執る。
第7巻「烈火の章」
第1章 地伏の星
旅芸人の馬桂を利用して呉用を誘い出す暗殺計画を報告し、馬桂の護衛として実戦経験のある手練れを配置するよう手配する。聞煥章から、馬桂が梁山泊に殺されたように見せかけて自身の憎悪を焚きつけるという残酷な提案を密かに受け、袁明からその裁量を任される。
第3章 地周の星
聞煥章と対等の立場で議論を交わすことを望み、失敗した将軍たちの死罪を支持して軍の立て直しに協力する。少華山にいる阮小五を闇塩の道の解明のために生け捕りにするよう王和に命じるなど、情報戦の指揮を執る。
第5章 地賊の星
祝家荘へ潜り込ませる一万の兵を北京大名府の軍から厳選し、荘民になりすますための細かな指示を徹底させる。李家荘の李応の裏切りを警戒し、いざという時のために毒を使う暗殺者を客分として送り込む策を講じる。
第8巻「青龍の章」
第1章 天暴の星
青蓮寺の幹部として、梁山泊の間者・時遷を始末した馬桂を労い、彼女との情事に耽りながら情報を収集する。
第3章 天富の星
祝家荘を拠点とした梁山泊殲滅作戦を袁明に説明し、万全の態勢を強調する。しかし、馬桂が梁山泊側の報復によって惨殺されたことで凄まじい衝撃を受け、四日間叫び続けて声が潰れ、髪が白くなるほどの変貌を遂げる。
第4章 地悪の星
復讐の鬼となり、宿元景の騎馬隊を出動させるため童貫を執念深く説得する。林冲をはじめとする梁山泊の頭領たちを皆殺しにすることを袁明に誓い、暗殺工作の陣頭指揮を執る。
第9巻「嵐翠の章」
第1章 天空の星
張藍の生存情報を偽装して林冲を誘い出す罠を仕掛け、暗殺による梁山泊の弱体化を狙う。また、祝家荘戦の敗因を分析し、関勝や呼延灼らの能力を見極めて軍の再編案を練る。
第2章 地佐の星
闇塩の道の全容を暴くため、滄州に部下の沈機を派遣することを袁明と合議し、隠密工作を開始する。林冲への執着を見せつつも、組織全体の戦略的優位を確保することに没頭する。
第3章 地微の星
義足となった聞煥章を訪ねて敗北の悔しさを共有し、軍費調達のための屯田計画を強引に推進する。情愛を切り捨て、梁山泊を潰すことのみを生き甲斐とする冷徹な姿勢を強めていく。
第4章 地走の星
青蓮寺の拠点に籠って厖大な書類を処理し、梁山泊幹部の暗殺計画を継続的に進める。聞煥章が提案した「新叛乱計画」を承認し、長期的な視点で敵を自壊させる謀略を差配する。
第5章 地暗の星
童貫の提案を受けて呼延灼の起用を認め、並行して老刺客の史文恭に梁山泊幹部の暗殺を命じる。もはや情を一切排し、勝利への執念を燃やす工作の鬼として描かれる。
第10巻「濁流の章」
第1章 地威の星
威勝を拠点とした田虎育成を完了させる。梁山泊を牽制するための「もう一つの叛乱」を作り出す冷酷な策略の実行者として活動する。
第5章 地刑の星
梁山泊の通信符牒の解読にほぼ成功しつつある。組織の根幹を揺るがす「静かなる攻勢」を白髪となりながら休まず進める。
第11巻「天地の章」
第2章 地全の星
聞煥章とともに膨大な資料を検証し梁山泊の「闇塩の道」の中心が北京大名府であると特定する。青蓮寺の組織を拡大させながら趙安ら新進気鋭の軍人を取り込んでいく。
第4章 天地の星
北京大名府に潜伏する聞煥章に趙安との対等な協力関係を指示する書簡を送る。史文恭のような熟練の工作員を梁山泊の深部へ送り込み組織の希望を根底から覆すための暗殺工作を後方から指揮する。
第12巻「天地の章」
第1章 地健の星
晁蓋を暗殺した史文恭を迎え、次なる標的として宋江や呉用を狙うよう命じる。袁明との深夜の対話では、激務による疲弊を指摘されながらも、梁山泊への憎悪を糧に自らを突き動かし続ける悲愴な覚悟を見せる。
第3章 地正の星
自ら北京大名府に乗り込み、聞煥章や沈機と共に「塩の道」の首魁を炙り出すための緻密な作業に没頭する。十八名の商人を拘束し、非情な拷問を辞さない決断を下すことで、ついに盧俊義を地下牢へと追い詰める。
第4章 地蔵の星
盧俊義を燕青に奪還された後、北京大名府の戦況を見極めるため永和鎮の水寨へ退く。沈機を失ったことを悔いつつも、北京大名府から持ち出した膨大な資料の分析を継続し、粘り強く塩の道の根絶を目指す。
第5章 地隠の星
占領から回復した北京大名府に留まり、敗北の責任を問う見せしめとして二人の将軍を凄惨な方法で処断する。聞煥章との激しい議論を通じて、単なる敵の抹殺を超えた、あるべき国家の姿についての自身の信念を再確認する。