聞煥章(ぶんかんしょう)
青蓮寺の策士で「理想なき天才」の異名を持つ文官。卓越した分析力と合理的な思考で梁山泊包囲網を設計する。感情でも忠誠心でもなく純粋な戦略論理だけで動く、最も異質な敵対者。
第6巻「烈火の章」
第5章 地劣の星
蔡京により禁軍の参謀に抜擢され、青蓮寺と禁軍を連動させる軍事戦略の中枢として登場する。梁山泊を柔軟な組織を持つ「国家」と定義し、宋江と呉用の同時排除や通信網の遮断など、緻密な戦略を次々と打ち出す。さらに「負けてもいい実戦」で指揮官を淘汰する軍改革案を提示し、袁明ら青蓮寺の幹部をも圧倒する非凡な才を見せる。
第7巻「烈火の章」
第1章 地伏の星
青蓮寺の参謀として太原府戦の情勢を分析し、役に立たない兵を労役に出して軍費を稼ぎ出す画期的な「屯田」計画を提案する。蔡京の承認を得て官軍の出兵手続きを迅速化させ、各地の通信網を寸断して梁山泊を孤立させる戦略を主導する。
第3章 地周の星
宋江を取り逃がした責任を問い、軍の規律を正すために失敗した二人の将軍を晒し刑に処すという非情な決断を下す。李富とともに童貫元帥と面会し、梁山泊を単なる賊徒ではなく「国家を脅かす叛乱軍」として認識するよう危機感を植えつける。
第5章 地賊の星
祝家荘を迷路のような要塞に変える「荘軍」戦術を指揮し、一万の精鋭を密かに埋伏させて梁山泊軍を誘い出す計略を練る。独竜岡の森で美しい女武芸者の扈三娘と出会い、彼女に心を惹かれる一方で、許婚の祝彪が戦死することを密かに願うという心の迷いを見せる。
第8巻「青龍の章」
第1章 天暴の星
禁軍の参謀として祝家荘に入り、解珍ら地元の猟師を「猟犬」として利用しつつ、荘内を巨大な要塞へと変える。
第2章 地異の星
勝気な扈三娘を宥めながら、官軍の精鋭を率いて梁山泊軍を待ち構える。
第3章 天富の星
宿元景の独走による敗戦を冷静に分析し、祝家荘の防衛戦こそが梁山泊を疲弊させる本番であると説く。李応の裏切りを未然に防ぐため、王和に監視と暗殺の準備を徹底させる。
第4章 地悪の星
扈三娘が林冲に敗れた報に衝撃を受けつつ、高廉らを用いて家荘内での梁山泊の攪乱工作を阻止しようとする。
第5章 地勇の星
李応の軍が荘内に突入する際、広場で顧大嫂の槍を受け、膝を貫かれる重傷を負う。敗北を悟ると、部下に担がれて秘密の地下通路を通り、祝家荘から脱出する。
第9巻「嵐翠の章」
第1章 天空の星
祝家荘戦での敗北後、負傷した左膝下を切り落として開封府に運ばれる。病床にありながらも詳細な敗因分析を行い、その鋭さは総帥の袁明をも唸らせるほどであった。
第3章 地微の星
義足の生活を余儀なくされながらも、李富と軍費調達のための屯田策や、南方の闇塩の道の調査について議論する。扈三娘への叶わぬ思いを吐露し、自らの内面的な弱さを認める。
第4章 地走の星
黄楊の木で作られた義足で復職し、他勢力の叛乱を煽って梁山泊と共食いさせる「新叛乱計画」を提言する。自身の情欲を満たすために女を囲いつつ、謀略に没頭する歪んだ日常が描かれる。
第5章 地暗の星
青蓮寺の幹部会議において、一過性の勝利に固執せず、梁山泊の兵員を削り続ける持続的な消耗戦の重要性を説く。老刺客の史文恭に対しても人間とは思わぬ冷淡な態度で接し、暗殺リストを渡す。
第10巻「濁流の章」
第1章 地威の星
威勝の田一族に鈕文忠を送り込み、新叛乱計画を実行に移す。梁山泊に匹敵する勢力を育て上げることで「もう一つの叛乱」を作り出す策を進める。
第5章 地刑の星
呼延灼の梁山泊合流という情報を受け、梁山泊の特異な引力を冷徹に分析する。宋江の肉親への監視と梁山泊の通信符牒の解読を並行して進める。
第11巻「天地の章」
第2章 地全の星
北京大名府の豪商の屋敷に執事として潜伏し李富とともに「闇塩の道」の核心を探る。間諜の呂牛を雇い一年かけて城郭内の不審な商人と外部との繋がりを洗う工作を引き受けさせる。
第4章 天地の星
禁軍将軍・趙安と密談を重ねて梁山泊の戦略を軍学的視点から分析する。何信によって自らの警備が容易に突破されるのを目の当たりにし禁軍の精鋭を護衛として受け入れる。歴史を動かす面白さを追求する趙安に共鳴し協力関係を強固にする。
第12巻「天地の章」
第2章 地傑の星
北京大名府に青蓮寺の分所を設け、城内での諜報活動を活発化させている様子が語られる。梁山泊側からも、彼の緻密な動きが警戒の対象となっている。
第3章 地正の星
北京大名府の拠点で蘭という女を侍らせ、肉欲に溺れることで精神の均衡を保ちつつ、塩の道の捜査を指揮する。李富と共に商人の一斉検挙を断行し、冷徹な洞察力で盧俊義が首魁であることを確信していく。
第4章 地蔵の星
永和鎮へ移動し、趙安と連携して軍事的な対抗策を練る。関勝の雄州軍を南下させ、北京大名府の奪回と関勝の忠誠心を試すという多重の罠を仕掛け、梁山泊軍を翻弄する。
第5章 地隠の星
李富との対話の中で、国家観などは「逃げ」に過ぎないと断じ、目前の敵である梁山泊を潰すことのみに全精力を傾ける実利主義的な姿勢を強調する。死の間際まで雨水を飲もうとした将軍たちの無様な最期を冷ややかに見つめ、新たな将軍候補の選定にあたる。